基隆の鉱産輸送・港湾史、造船業の一面を残す産業遺構としての価値がある「阿根納造船廠遺構」は、1919年頃に設立された「八尺門貯炭場(Bachimen Coal Storage)」として、台湾北部・深澳坑などで採掘された石炭を一時保管・積出する施設として使われていました。日本統治時代(昭和期)には、日本礦業株式會社およびその関連子会社が、金瓜石鉱山などから運ばれた鉱物(銅・金・鉱砂など)の積み出しコースとして、この地域に軽便鉄道や索道・装載用桟橋を整備しておりましたが、1966年以降、この施設を米国系の造船事業者(「阿根納造船廠(Argonaut Shipyard)」として)に貸与・転用し、ヨット・帆船の建造を手がける造船所として1987年まで稼働。その後、施設は使用されず荒廃し、建築物がそのまま廃墟化した状態になりました。
現在は、建築的・歴史的価値が認められ、基隆市政府が「歴史建築(暫定)登録」などの措置を行い、2025~2027年にかけて、改修・補強工事をし、宿泊施設および商業スペース整備するため、構造補強・内装・施設設備を行うそうです。 廃墟の期間がながいので、どうなるか楽しみではあるのです。